建築の資格がないと、同じ仕事に転職できないと言われました

建築士の資格がなくても、デベロッパーからデベロッパーへの転職はできます。企画設計3年目の相談に、発注者の転職で見られる経験と、今の会社に残る選択肢を整理します。

自宅の机でノートを前に、物件の外観パースを手元に置いて、今後の仕事の進め方を考えている会社員の胴体と手元
ご相談

ご相談者の情報

年代
20代半ば
職種
企画設計
業種・勤務先
デベロッパー
経験年数
3年目
保有資格
宅建

新卒でデベロッパーに入り、3年目です。建築部隊で自社マンションの企画設計を担当しています。設計事務所に図面を依頼し、事務所から上がってきた図面やデザインをチェックする仕事です。賃貸の物件では、素材やエントランス、外観を自分の裁量で決められることもあって、そこが面白いところです。

持っている資格は宅建だけで、業務では使っていません。建築士には手を出せていません。設計職に進みたいわけではないので、必要性も感じていませんでした。

気になっているのは、中途で入ってきた先輩に「建築の資格がないと、同じ仕事では転職できない」と言われたことです。それを聞いてから、いつか転職を考えるときに大丈夫なのかが不安になりました。

会社は組織の再編が続いていて、相談していた人も異動しました。今すぐ辞めたいわけではありません。ただ、周りにデベロッパーに進んだ友人がおらず、この年齢でこの状態でいいのかを不安に思っています。

専門家のアドバイス

発注者から発注者への移動では、資格は前提になりにくい

先輩の話は、半分は当たっていて、半分は状況が違います。

資格を求められやすいのは、元請け側から発注者側に移るときです。設計事務所やゼネコンから発注者に移る人は、図面を描く技術者として評価されるため、資格が判断材料に入ります。

発注者から発注者への移動は、見られるところが違います。企画をどう通したか、外部をどう動かしたか、事業としてどう組み立てたか。ここに資格は要りません。同じような経歴で大手系のデベロッパーに転職された方の事例もあります。

第二新卒の年代は、即戦力として見られない

3年目という年次は、ポテンシャルで採用される最後の時期です。そのため、実務経験をそこまで見られずに転職がしやすい時期と言えます。

相談者様の場合、自社の物件で企画から着工まで通した経験があるとのことですが、この年次でそれを持っている人は、それほど多くありません。行きたい会社が求める人材のレベル感にもよりますが、一般的には不安の材料にされている年齢は、むしろ有利に働きます。

裁量のある発注者側という適性

エントランスのパースの横で、外壁や床の素材サンプルの組み合わせを選んでいる手元

話を聞いていて感じたのは、相談者様には外部を動かしながら自分の考えを物件に落とし込む発注者側の進め方が合っている、ということです。

図面を自分で引きたいという希望が大きくないのであれば、設計職への道を考える必要はありません。発注者側で裁量の大きいポジションを探すほうが自然です。

インテリアや内装への関心が残っているのであれば、区分マンションの買取再販という領域もあります。リノベーションの企画は、発注者の立場のまま、空間設計にも関われる仕事です。

木の床と造り付けの本棚がある、リノベーションされたマンションのリビング

今の会社に残るのも良い選択肢です

今のご状況であれば、転職しないという結論も有力な選択肢であると思います。

一方、他にも行ける場所があると分かったうえで残るのと、分からないまま残るのとでは、その後の働き方が変わります。そのため、いざ必要になったときにすぐに動けるよう、今のうちに選択肢を広げておくのも悪いことではないと思います。